観劇会「十八世中村勘三郎十三回忌追善 猿若祭二月大歌舞伎」 2月17日(土)

十八世中村勘三郎十三回忌追善 猿若祭二月大歌舞伎 観劇
演目「新版歌祭文 野崎村(しんぱんうたざいもん)」「釣女(つりおんな)」「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」
会員交流委員会 2024年2月17日(土) 参加人数:31 名

今回の観劇会は、今年18世中村勘三郎の13回忌にあたる追善の「猿若祭二月大歌舞伎」。記念すべき舞台とあって南甲倶楽部会員とそのご家族など31名の方々にご参加いただきました。はじめて歌舞伎を鑑賞したという方は「華やかさに圧倒されました」。また、毎回参加されている方からは「今回の演目は非常にわかりやすくて楽しめた」との声も聞かれました。

11時開演で昼食をはさんで終了したのは3時過ぎ、4時間の鑑賞時間でしたが、アッという間に過ぎてしまいました。

最初の演目「新版歌祭文 野崎村」は、切ない恋を描いた世話物の名作。久松との祝言を控えた村娘お光のはずむ女心、これを本物の大根をリズミカルに切って表現したおもしろさ、お光の恋敵のお染が久松に「会いたかった〜、会いたかった〜」という名セリフ、髪を切って尼になったお光が久松とお染を見送って泣き崩れる幕切れ、観客も涙するほど情感のこもった演技でした。久松の中村七之助、お光の中村鶴松、お光の父親はあのNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演していた坂東彌十郎。素晴らしい歌舞伎役者たちの演技にほれぼれしました。

次の演目「釣女」は、妻を釣り針で釣ろうという大名と付人の話。付人の中村獅童と大名の中村万太郎、それぞれ釣り上げた美女と醜女の踊りとかけ合いが見事でした。狂言を素材とした作品だけに笑えるシーンが満載。でも、これ、現代に置き換えると、醜女がブスとなり批判をあびそう。

最後の演目は「籠釣瓶花街酔醒」。実際の事件をもとにした「吉原百人斬り」を脚色した世話狂言です。

見どころは花魁の八ツ橋を演じた七之助。艶かしい色気に思わずゾクッと震えがきました。片や次郎左衛門扮する勘九郎の演技、とりわけ八ツ橋に一目惚れする時の表情や、縁切りされ絶望する姿は真に迫り、観客にも情が移っていたと思います。

いずれの演目も数々の名セリフを聞くことができ、さらに衣装が華やかで、中でも花魁の着物は豪華で魅了させられました。逆に村娘の着物は控えめな色調ですが粋。衣装も歌舞伎の大きな魅力のひとつです。

次の歌舞伎鑑賞会には、オペラグラスを持参して、同時解説イヤホンガイドを借りて鑑賞した方がいいかもしれません。たいへん楽しい観劇会でした。