企業交流委員会 ANA 機体工場見学会 ~Blue Hangar Tour~ 3 月 10 日

3月 10 日、東京羽田の ANA コンポーネントメンテナンスビルにて、ANA グループの安全運航を支える ANA 機体工場の見学会が 40 名の参加により開催されました。ご協力頂いた南甲倶楽部会員である梶田恵美子全日本空輸(株)取締役常務執行役員から初めにご挨拶を頂いた後、整備センターの池永亮様より ANA グループの整備部門(e.TEAM ANA)について説明がありました。

井上企業交流委員長の挨拶
梶田 ANA 取締役(南甲倶楽部会員)の挨拶

妥協を許さない安全を創る文化

機体整備は、事前に実施する定例整備、壊れたら実施する非定例整備、特別作業の3つに分類されており、ドッグ整備、ライン整備、エンジン整備、装備品整備、整備サポートの各部門が協力して、以下の3つの文化による人づくりを進め、絶対に妥協を許さない姿勢で安全を創る取り組みが行われていることが良く分かりました。

①安全品質を優先する文化:グループ全役職員に安全教育センター(事故機体の一部を展示)での教育、航空機からの緊急脱出研修を実施。整備部門では、安全体感教育(安全帯にぶら下がる体験など)、ヒヤリハット活動を実施。

②アサーション文化:アサーションとは、当初機⾧と副操縦士間のコミュニケーションに於いて行われたもの。現在では上司・部下の関係(権威勾配)を超えた相互コミュニケーションにより、気づきを伝え安全のレベルを上げる取り組みをグループ全体で実施。

③KAIZEN する文化:TAKO(e.Team ANA Knowledge Operation)という現場の気づきを発信してスタッフが組織的な改善につなげ組織全体のナレッジとして共有できる仕組み。eTPS(トヨタ・プロダクション・システム)による現地現物を重視した改善活動の実施。これらの取り組みの結果、1971 年を最後に 50 年以上死亡事故は発生しておらず、国内線の定時出発率(整備事由による 16 分以上の遅発欠航率)を 99.7%以上との説明がありました。1952 年に日本初の純民間航空会社である日本ヘリコプター輸送(後の ANA)として 2 機のヘリコプターでスタートを切った時代から変わらない安心安全への取り組みについて理解が深まるとともに、その凄さを実感しました。

スケールの大きさに圧倒された格納庫

とても有意義な全体説明の後、いよいよ格納庫の見学となりました。格納庫では、3 機の機体が整備されていましたが、我々、見学者は上層階から見学した後、地上階におりて機体の側まで近づくことができ、そのスケールの大きさに圧倒されました。特に航空機の心臓部であるエンジン構造の見学など、大変貴重な経験をすることが出来ました。一方、整備工具の保管場所での説明では、「小さな整備工具が一つでも見当たらない場合は、その日の整備作業は終了しない」との話を伺い、ANA グループの安全管理の徹底について、再認識しました。

今回の見学会では ANA 整備センター整備業務部の蟹江部⾧様他のきめ細かな準備・対応にもお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

見学会終了後は、羽田エクセルホテル東急で懇親会を開催し、見学会の話題で大変盛り上がり会員相互の懇親をより一層深めることが出来ました。

企業交流委員会では、今後とも各種見学会を開催してまいります。会員の皆様のご参加をお待ちしております。

企業交流委員会委員 横瀬達也(文)、黒川真俊(写真)