第9回ビジネス交流会

平成26年9月19日

後楽園キャンパス3号館

「2020年東京オリンピック・パラリンピックのビジネスチャンスを掴むために」

~全体計画とインバウンドビジネス編~

 

講演会講師  雑賀真氏
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(昭和58年中央大学大学院法学研究科卒 一般社団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 チーフコンプライアンスオフィサー、総務局長 東京都オリンピック・パラリンピック準備局理事)

千葉千枝子氏
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(昭和63年中央大学経済学部卒 中央大学客員講師 観光ジャーナリスト 有限会社千葉千枝子事務所代表取締役 ※南甲倶楽部会員)

今回で第9回目を迎えたビジネス交流会は過去最多の70名の参加者を迎え、新任の昭和58年卒の遠藤一義ビジネス交流委員長の開会の挨拶で始まった。次いで平成19年卒の片岡健太氏がビジネス交流会参加者の心得を記した「ビジネス交流会憲章」を読み上げると会場の雰囲気は一気にビジネスモードに切り替わった。

毎回新しい試みを繰り返しながら創意工夫を凝らしてきたビジネス交流会は、今回、初の試みとして「講師と参加者によるトークセッション」というスタイルを取り入れることで、より参加者の聞きたいこと、知りたいことに応えられるようになった。

第1部の講演は雑賀氏からスタートし、大会の全体計画のほか、招致に至るまでのエピソードや現状の組織体制や進行状況についても事細かにご説明頂いた。実は2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催期間はすでに決まっておりオリンピックは2020年7月24日(金)~8月9日(日)、パラリンピックは2020年8月25日(火)~9月6日(日)の予定。

現在は大会ビジョン「Discover Tomorrow」の元、組織委員会はロンドン開催時の同時期に比べ、約2倍の180名体制でIOCが用意した52のファンクショナルプラン、約2,500のチェックリストを進めているという。

このような大会開催に纏わる膨大なノウハウをIOCは過去31回の経験から蓄積しており、そのノウハウを組織委員会に惜しみなく提供してくれているという。このことでIOCと組織委員会が相互に「パートナー」として良好な協力関係を築くことができており、順調に進行ができているそうだ。

また、ビジネスの観点につながるところとして、組織委員会は被災3県、全国の自治体、大学機関とのつながり強化を図っている点や、予算は3013億円で収入としてはIOCからの放映権収入、国内スポンサー収入、チケット収入の3本柱だが、昨今の材料費の高騰などで予算を増やすべく、国内スポンサー収入を増やすことも検討中という話もでた。後のトークセッションでは参加者から、かなり突っ込んだビジネス上の質問が雑賀氏に多数寄せられた。

40分程の雑賀氏の講演の後、千葉氏にバトンタッチした。
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千葉氏からは「観光新潮流にみるインバウンドビジネスとその商機」というテーマでご講演頂いた。

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定した2013年は訪日外国人数が1,000万人を初めて突破し、44年ぶりに日本人の海外での消費額を訪日外国人の消費額が上回るという旅行収支が黒字化し、本格的にインバウンドビジネスの時代に突入した節目の年だったそうだ。

また、2020年に訪日外国人数2,000万人という目標は、実は2030年に3,000万人という訪日外国人数目標の中間目標ということは、実は以前から政府で決まっていたそうだ。観光庁の発表では、訪日外国人の増加により今後、伸び代が期待される産業として飲食店業、食料品産業、小売業、農林水産業を挙げているそうだ。

2013年度の訪日旅行者数の多い国では1位韓国、2位台湾、3位中国で、近年タイは前年比74%増と急激に増えている。一方消費額では、1位中国、2位台湾、3位韓国となっている。また、タイはASEAN6か国の中で最も旅行者消費額が多く、不思議なことに1人平均2万円をお菓子に消費しておりタイでは日本の菓子土産がブームになっているようで空港は元より、日本に来る前に予約注文をしていて旅館やホテルでお土産を受け取るというスタイルまで増えているようだ。

そして、今後のインバウンドビジネスにおいてキーワードとなる言葉に「MICE」を挙げられていた。MICEとはMeeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行), Convention またはConference(大会・学会・国際会議), Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一スタイルとんことだが、このような旅行者は消費額が多く、このような国際会議や展示会等を政府や地方自治体、大学機関も積極的に誘致を図っているようだ。

このように様々な観点で今後急増する訪日外国人数にちなんだインバウンドビジネスの商機をご説明頂き、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、多くの参加者が個々のビジネスとのマッチングをいろいろとイメージされたのではないだろうか。ということは、次のトークセッションにおける参加者からの具体的な質問の内容から窺い知れた。

トークセッションは進行役をビジネス交流委員の重信裕之氏が務め、始めは両講師による双方への質問からスタートし、その後に事前に参加者から募っていた質問を講師へ投げかけるといった流れで進んでいった。途中、参加者の質問に対して参加者が応えるという場面もあり、非常に活発なトークセッションとなった。

トークセッション後、ビジネス交流委員会担当専務理事の清水正行氏より両講師に謝辞と記念品が贈られ第1部が終了した。
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第2部の懇親会は、上層階のパーティー会場に場所を移し、後楽園の美しい夜景を見ながら両講師、参加者による懇親会が行われた。お酒も入りリラックスした雰囲気でさらに交流が進み第9回目のビジネス交流会は大盛況のうちに終了しました。